2度目のスピーチ。ご年配の方々には評判よかったけど、ちょっと長すぎたか?
たーさん、まゆっぺ、ご結婚おめでとうございます。
私は、たーさんの幼馴染で、小中学校時代の同級生でもあります、濱田千歳と申します。
また、同時にまゆっぺとは、バイト時代の先輩後輩の間柄でもあります。
その辺の詳細は後で述べさせていただくことにしまして、まずは、たーさんの人となりについて、たーさんの多くのご友人方の代表として、はなはだ僭越ではございますが私からご来場くださいました皆様方に、お伝えさせていただきたいと存じます。
たーさんとは物心ついたときからの幼馴染ですが、少年時代の彼を一言で表すとしたら、それは「好奇心旺盛」です。
彼は本当に好奇心が旺盛で、興味があることにはなんでもチャレンジしていたように記憶しています。 一般的な少年が興味を持っていることといえば、「将来の夢」とか「勉学」とかもまあ否定はしませんが、主には「スポーツ」「テレビゲーム」「思春期の苦悩」と、私の主観ではおおむねそういったものになるかと存じます。
そしてそのどれもにおいて、たーさんは非常に好奇心旺盛で、常に高純度のチャレンジ精神をその魂に持ち合わせていました。
「サッカー」「ビリヤード」「ファミコン」「ロックバンド」、あと、健全な男子としては当然ながら「異性の存在」、それに深夜電波に乗って放送される「オールナイトニッポン」――そういったものを、少年時代のたーさんは愛していました。彼と私の通っていた南国市立香南中学校では、当時の男子生徒は全員丸坊主という校則に縛られていました。そんななかで「思春期に苦悩」する男子生徒ができる精一杯のおしゃれとして、「眉毛を剃る」という行為を私たちに教えてくれたのもたーさんでした。
そんな彼が、成長していくにつれて身に着けたもの、それは計画性でした。彼は将来について考え始めるようになり、やがて、社会をそれまでとは違う視点で見るようになったようでした。将来を見据えた貯蓄を始め、社会においての自分を再認識し、いつしか人間関係を大事にするようになりました。
――そして月日が流れ、やがて私は、たーさんのその変化に気づきました。それはとても祝福すべき、嬉しい変化でした。それまでに経てきた人生の中で、なにを思い、感じて生きてきた上でのことか、彼は、彼の強くたくましい魂の中に、とても大きな「優しさ」を、持ち合わせるようになっていたのです。
つまり、私が見た、たーさんの人となりは、3つの言葉で表せます。「好奇心」「計画性」「優しさ」です。どれも、とても大事な事だと思います。そんな彼だからこそ、私は、元は私の友人であったまゆっぺを、たーさんに紹介しても安心だと思ったのです。彼はそんな、自分の友達を紹介しても大丈夫だと思わせる男であります。
さて、たーさんの人となりを皆様にお伝えするのに、思いのほか時間をとってしまいましたので、この辺で私のスピーチを切り上げてもOKだとは思うのですが、せっかくの機会ですから、もう少しだけお時間を頂戴いたしまして、たーさんとまゆっぺの、「出会い」の詳細ついてご報告させていただこうと考えているのですが、語ってもよろしいでしょうか? ありがとうございます。一人でもいれば語ります。
たーさんと私の関係というのは今申し上げたとおりなのですが、実はもともと、まゆっぺと私は、たーさんとまゆっぺが出会う前からの友達だったのです。もう何年も前になりますが、私が、恥ずかしながら職にあぶれ、サニーマート南国店のテナントで、本屋の店員などをやって収入を得ていた頃の事でした。
「まゆっぺといいます。よろしくお願いします」
って感じで、当時まだ10代で、看護学校に通っていたまゆっぺが新人アルバイトとして入ってきたのでした。その後、アルバイトの仲間内でよく遊ぶようになり、私もまゆっぺを歳の離れた妹のように思うようになっていたのですが――あれは、もう4年前の春になります。まゆっぺと「ビリヤードをやろう」という話になりました。
当時私は、まあ何とかまともに就職も果たしまして、大人の財力を頼りにたーさんとよくビリヤードをして遊んでいました。たーさんが少年時代ビリヤードを愛していたというのは先述いたしましたとおりですが、つまり私の頭の中で、「ビリヤード=たーさん」という公式が出来上がっていたのでした。そんなわけで私は、二人でゲームやるのも寂しいからということで、たーさんを誘い、まゆっぺを連れ出し、かくして二人の出会いは成立したのです。
しかしながらその時の出会いでは、ロマンスめいたことはなにも発生しませんでした。ビリヤードを楽しんで飯食って帰っただけ。携帯番号のやり取りもせず、そのまま解散でした。程なく私は当時働いていた職場を去り、一念発起して名古屋へ旅立ちます。
つまり、たーさんとまゆっぺは、完全にすれ違ったまま、その出会いを終えてしまったのです。
当たり前っといっちゃ当たり前ですが、二人の話には続きがあります。つまり、二度目の出会いです。
二度目の出会い――それは去年の暑い日のことでした。
その年の春に、約三年の名古屋暮らしを乗り切り、私は高知に帰ってきて、以来高知で学校に通いながら職探しに励んでいたのですが、ある日、たーさんと焼肉を食べに行くという話になりまして。
その時、たーさんは彼女がいない――いわゆるフリーと呼ばれる状態でして、まゆっぺもフリーということでした。そして私は、過去に一度だけ二人を出会わせていたことを、完全に忘れていたのです。
「じゃあ、俺の友達も誘おうか?」と、私がたーさんに聞きますと、
「ちーくんの友達か(ちーくんというのは私のことです)。おう、そうやにゃあ、呼べや」と、たーさん。
というわけで、私は「俺の友達を紹介するよ」よろしくたーさんとまゆっぺを再び出会わせることになったのです。
たーさんとまゆっぺは、お互いを見て、こう言いました。
「はじめまして」
……早い話が、二人とも以前にお互いに会って、しかもビリヤードをプレイしていたことをきれいさっぱり忘れ去っていたのでした。
しかし、なんということでしょう。三年の月日は、お互いの印象を、三年前とはまったく違うものにしてしまっていました。出会ったその日に、たーさんはまゆっぺをデートに誘いました。
「今度一緒に花火しょうや」
まゆっぺは答えました。
「私花火するより見たい」
――この会話から、二人の物語は始まります。
ただ、続きを語り始めると、このスピーチ、一時間では利かなくなります。また、それよりなにより、以後詳細は、やはりお二人から直接聞いたほうが良いのだろうと思います。というわけで、ここからのエピソードは、今回は割愛させていただきます。どうしても気になるという方は、お手数ですが、後で私までご足労のほどお願い申し上げます。
とにかく、そんな経緯があって、今回めでたく結ばれるお二人ですが、この、奇妙な出会いのプロセスについて、ある日、たーさんが私にこう語ったことがあります。
「運命の人というのは二人が一緒になってなかったら、死ぬまでに何度か目の前に現れるらしい。まあ俺の前に、まゆっぺが三年ぶりに現れたって、そういうことよ」
そして、まゆっぺは、私に、こう言いました。
「こんな幸せな結婚が私にできるなんて、思ってなかった。ちーくん、たーさんを紹介してくれてありがとう」
――私は、今回、そんな彼らの出会いに協力できたことを、なにより誇りに思います。
そして、お二人が、今幸せの中にいることを確信し、そしてその幸せが、三ヵ月後には建っているだろう新居でこの後も育まれていくであろうことを確信しつつ、お二人に、ちょっとえらそうな気もしますが、この言葉を送らせていただきたいと思います。
たーさん、まゆっぺ、ご結婚おめでとうございます。そしてこれより以後、あなたたちは二人の人間としてだけではなく、一組の夫婦として、お互いを支えあい、愛し合って生きてください。どうか、末永くお幸せに!

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